これは、ボクたちが寝ているときでも、
酒を飲んでグデングデンになっているときでも、
ご馳走を食べているときでも、
いつも働きつづけている。
これも飢餓や感染のときと同じ、遺伝子の話になるが、
これまでの動物の歴史の中では、
遺伝子は体が傷ついたときに、
ピタッと出血を止めることにヤッキになってきた。
ケガに弱い、
つまり出血が止まりにくい遺伝子は淘汰されていって、
ケガに強い、
つまり、出血をすぐに止める機能の高い遺伝子が
生き残ってきたのだろう。
ところが、である。
医療の進歩が、その凝固線溶系に異変をもたらしたのだ。
近年の医学の進歩はめざましい。
特にここ最近40年ほどは激烈なスピードで進んでいる。
その長足の進歩のおかげで、
今や、以前には到底助かるはずもなかった傷病(病気やケガ)も
どんどん助かる時代になってきている。
特に集中治療室なんてところは、
ニンゲンの衰えた臓器の機能を
最新の高性能な機器でサポートする
医療の最先端技術が結集した場所である。
ところが、これまで助からなかった傷病治療していると、
今度はこれまでならニンゲンに起こるはずのない
新たな病態が出てくるようになった。
そのひとつが、DIC(でぃーあいしー)という病態である。
DICとは
播種性血管内凝固(はしゅせいけっかんないぎょうこ)症候群というもので、
血管の中で血液が固まってしまうという異常事態が
全身に広がる(播種する)病気である。
ボクが書く、こんなおちゃらけ医療ブログで、
医者すら十分に理解できないような
複雑な病態であるDICについて一般のヒトたちに語るのは、
無謀で暴挙かもしれないが、
なるべくわかりやすく話をするつもりなので、
我慢して読んでほしい。
大きなケガや悪性腫瘍の末期だけでなく、
各臓器の不全(心不全、肝不全、腎不全、呼吸不全)が起こると、
全身の血管の内側の膜(血管内皮)が傷む。
そしてその傷んだ部分を修復しようとして、
血管内で凝固系が活発に動き出す(亢進:こうしん)。
ところが集中治療のなかったころは、
そういった重症に陥ると、
そのまま、その病気で命を落としていたので、
凝固系が亢進しても、それ以上の病態に進むことを
確認することもできなかった。
2012年4月28日土曜日
2012年4月22日日曜日
脳梗塞にtPA療法
ここ、数年で脳梗塞の治療は劇的に変わった
しびれや麻痺やしゃべりにくなどの症状が急に出たら、
脳卒中(脳梗塞や脳出血)を考えるが、
もし脳梗塞なら、発症から3時間以内に
血栓(血液の塊り)を溶かす治療をすると
症状がすっきりなくなる可能性が高くなった
こういうことを書くと、
みんな、何か症状が出ると、
脳梗塞だ、すぐ治療してくれ、と
救急に飛び込んできたりする
テレビで、病気の特集をすると
自分もその病気じゃないか、と心配して
次の日には、同じような症状の患者が大勢来る
何で、今日は同じ症状の患者ばかりが救急で来るんかなあ
昨日、何かテレビでやっていた?
ハイ、やってましたよ、
やっぱりね、そういうテレビって
現場の医者には、エライ迷惑だよな、
という事態となる
だから、今回書いている脳梗塞の話も、
特別な条件下で行う特殊な治療であることを
理解しておいてもらいたい
しびれや麻痺、力が入らない、しゃべりにくい、などの症状が
以前からあるとか、
徐々にひどくなってきたというのはダメ
ある瞬間に突然始まったことが重要なのだ
しびれや麻痺やしゃべりにくなどの症状が急に出たら、
脳卒中(脳梗塞や脳出血)を考えるが、
もし脳梗塞なら、発症から3時間以内に
血栓(血液の塊り)を溶かす治療をすると
症状がすっきりなくなる可能性が高くなった
こういうことを書くと、
みんな、何か症状が出ると、
脳梗塞だ、すぐ治療してくれ、と
救急に飛び込んできたりする
テレビで、病気の特集をすると
自分もその病気じゃないか、と心配して
次の日には、同じような症状の患者が大勢来る
何で、今日は同じ症状の患者ばかりが救急で来るんかなあ
昨日、何かテレビでやっていた?
ハイ、やってましたよ、
やっぱりね、そういうテレビって
現場の医者には、エライ迷惑だよな、
という事態となる
だから、今回書いている脳梗塞の話も、
特別な条件下で行う特殊な治療であることを
理解しておいてもらいたい
しびれや麻痺、力が入らない、しゃべりにくい、などの症状が
以前からあるとか、
徐々にひどくなってきたというのはダメ
ある瞬間に突然始まったことが重要なのだ
2011年12月18日日曜日
病気によって治療を開始するまでの緊急度は違う
救急疾患といっても、
その緊急度は様々だ
緊急度はその疾患を担当する医者の
時間感覚が物語っている
循環器の医者に、
救急に心筋梗塞が来ました、と言えば
わかりました、すぐ、行きます、と
全速力で救急に降りてくる
脳外科に
脳出血が来ましたといったら、すぐ行きますといっても
10分ほどかかることもあるのに
SAH(くも膜下出血、エスエーエイチあるいはザーと言う)なら
数分以内に来る
病気の状況にもよるが、
医者のその病気に対する好き嫌いがよくわかる。
どこの脳外科医もザーが好きだ
耳鼻科にめまいといっても1時間かかることも。
精神科の患者が不穏状態で興奮しているといっても
すぐ行きます、と言ってからでも、
2時間以上かかることもある
オイオイ、精神科のすぐって2時間かよ、
以前は、神経内科に
脳梗塞です、と連絡して、ハイすぐ行きますと言っても、
それから、忘れたころにやってきていたものだが、
(以前は脳梗塞は効果的な緊急処置というものがなかったんだ)
今じゃ、脳血栓融解療法(tPA)をする患者だと、
全速力で降りてくる
治療方法の変貌によって、
治療開始までの時間が変わっていくので、
医者の時間感覚も変わっていく
われわれ消化器外科に
消化管穿孔の汎発性腹膜炎です、と連絡が入ったら、
30分以内には行くかな
その緊急度は様々だ
緊急度はその疾患を担当する医者の
時間感覚が物語っている
循環器の医者に、
救急に心筋梗塞が来ました、と言えば
わかりました、すぐ、行きます、と
全速力で救急に降りてくる
脳外科に
脳出血が来ましたといったら、すぐ行きますといっても
10分ほどかかることもあるのに
SAH(くも膜下出血、エスエーエイチあるいはザーと言う)なら
数分以内に来る
病気の状況にもよるが、
医者のその病気に対する好き嫌いがよくわかる。
どこの脳外科医もザーが好きだ
耳鼻科にめまいといっても1時間かかることも。
精神科の患者が不穏状態で興奮しているといっても
すぐ行きます、と言ってからでも、
2時間以上かかることもある
オイオイ、精神科のすぐって2時間かよ、
以前は、神経内科に
脳梗塞です、と連絡して、ハイすぐ行きますと言っても、
それから、忘れたころにやってきていたものだが、
(以前は脳梗塞は効果的な緊急処置というものがなかったんだ)
今じゃ、脳血栓融解療法(tPA)をする患者だと、
全速力で降りてくる
治療方法の変貌によって、
治療開始までの時間が変わっていくので、
医者の時間感覚も変わっていく
われわれ消化器外科に
消化管穿孔の汎発性腹膜炎です、と連絡が入ったら、
30分以内には行くかな
2011年12月3日土曜日
救急の形は千差万別
救急といっても、病院によって救急医療のやり方は千差万別。
小規模の病院なんかは、いくら「救急」を標榜していても、
ほとんどの病院が、たった一人の当直医が救急患者を診る体制。
しかもその医者は内科か外科か整形か耳鼻科かわからない。
そんな危うい状況で日本の救急は成り立っている。
一方、地域の中核病院、基幹病院などは救命センターや救急科を持っているところもある。
救急医療の形としては大きく2つに分けられる。
ひとつは、救命センターみたいに重症の患者(3次救急患者)だけを取って、救急医が自分たちで診察して集中治療して治して退院させる、といった自己完結型の形式をICU型救急。
もうひとつは、アメリカドラマの「ER」で見られるような、初療(初期治療)だけは救急医が診て、軽症ならそのまま帰すけど重症ならそれぞれの専門医に預けて入院させる、といった初療専従型のER型救急。
うちの病院は多くの科がある総合病院で、それぞれの科に専門医がいるので、
形としては「ER型救急」でやっている。
救急外来はボクたち救急専門医を中心に、毎日当番を決めて救急患者の診察に当たる。
ただ、担当医が専門の病気じゃなくても、毎日、全ての専門科が救急担当を当てているので、なにか専門外の患者が来たら応援を頼むことができる。
でも、こういった比較的しっかりした救急受け入れ体制を持っている病院は、
日本の救急病院全体から見たら、ほんの一握り、
その恩恵を受けられる患者も一握りということで、
救急フェチのボクとしては、
ちょっとでも質のいい治療を提供しようという思いだけは常に持ち続けている。
小規模の病院なんかは、いくら「救急」を標榜していても、
ほとんどの病院が、たった一人の当直医が救急患者を診る体制。
しかもその医者は内科か外科か整形か耳鼻科かわからない。
そんな危うい状況で日本の救急は成り立っている。
一方、地域の中核病院、基幹病院などは救命センターや救急科を持っているところもある。
救急医療の形としては大きく2つに分けられる。
ひとつは、救命センターみたいに重症の患者(3次救急患者)だけを取って、救急医が自分たちで診察して集中治療して治して退院させる、といった自己完結型の形式をICU型救急。
もうひとつは、アメリカドラマの「ER」で見られるような、初療(初期治療)だけは救急医が診て、軽症ならそのまま帰すけど重症ならそれぞれの専門医に預けて入院させる、といった初療専従型のER型救急。
うちの病院は多くの科がある総合病院で、それぞれの科に専門医がいるので、
形としては「ER型救急」でやっている。
救急外来はボクたち救急専門医を中心に、毎日当番を決めて救急患者の診察に当たる。
ただ、担当医が専門の病気じゃなくても、毎日、全ての専門科が救急担当を当てているので、なにか専門外の患者が来たら応援を頼むことができる。
でも、こういった比較的しっかりした救急受け入れ体制を持っている病院は、
日本の救急病院全体から見たら、ほんの一握り、
その恩恵を受けられる患者も一握りということで、
救急フェチのボクとしては、
ちょっとでも質のいい治療を提供しようという思いだけは常に持ち続けている。
2011年11月16日水曜日
深夜の告白
ある当直の夜、
深夜に、27歳の女性、氷室さん
突然体がガクガク震えだしたという症状で
救急搬送されてきた。
パニック発作とは、自分でも思いがけないときに、
突然、青天の霹靂のように
原因不明の不安発作に襲われること、と、定義されている。
その症状は様々で、動悸、息切れ、発汗などの軽微なものから、
吐いたり、手足の感覚がなくなったり、痛みがうずいたりする、
結構、きつい症状のものもある。
氷室さんは1ヶ月ほど前にこの症状が始まって
それからは数日ごとに深夜に発作を繰り返し、
ウチの病院へ救急で運ばれている。
血液検査やCT検査などをいろいろ行ったが、
体は悪いところはなく、それからは精神的なものだと片付けられていた。
今まで、そういった精神的な症状を起こすようなことはなかったので、
付き添ってきた母親も落ち込んでいた。
ボクが話しかけようとすると、
両手で耳を押さえて、目は半眼になって、
アゴをガタガタ震えさせるので、話も聞けない。
(これはどうしようもないな、)
鎮静剤を1錠飲ませて、落ち着くのを待った。
普通の当直医は、このまま落ち着いたら、その時点で帰すだろう。
夜中に、自分の貴重な睡眠時間を割いてまで、
パニックの患者から細かく、ゆっくり長く話を聞いて、
治療をしてあげようなんて医者はまずない。
いかに、自分の睡眠時間を確保するかが、
多くの当直医の命題だ。
しかし、ボクは仕事をし始めてからは、
睡眠時間の長さにあまりこだわらなくなった。
寝不足でも結構平気なタイプなので、
当直でも、深夜になっても、ついつい救急室で
看護婦さんとダラダラと話し込んだりして、
貴重な時間を過ごしてしまう。
だから、深夜に来る救急患者に、気楽にゆっくり時間を使って
診察をすることも嫌いではない。
深夜に、27歳の女性、氷室さん
突然体がガクガク震えだしたという症状で
救急搬送されてきた。
パニック発作とは、自分でも思いがけないときに、
突然、青天の霹靂のように
原因不明の不安発作に襲われること、と、定義されている。
その症状は様々で、動悸、息切れ、発汗などの軽微なものから、
吐いたり、手足の感覚がなくなったり、痛みがうずいたりする、
結構、きつい症状のものもある。
氷室さんは1ヶ月ほど前にこの症状が始まって
それからは数日ごとに深夜に発作を繰り返し、
ウチの病院へ救急で運ばれている。
血液検査やCT検査などをいろいろ行ったが、
体は悪いところはなく、それからは精神的なものだと片付けられていた。
今まで、そういった精神的な症状を起こすようなことはなかったので、
付き添ってきた母親も落ち込んでいた。
ボクが話しかけようとすると、
両手で耳を押さえて、目は半眼になって、
アゴをガタガタ震えさせるので、話も聞けない。
(これはどうしようもないな、)
鎮静剤を1錠飲ませて、落ち着くのを待った。
普通の当直医は、このまま落ち着いたら、その時点で帰すだろう。
夜中に、自分の貴重な睡眠時間を割いてまで、
パニックの患者から細かく、ゆっくり長く話を聞いて、
治療をしてあげようなんて医者はまずない。
いかに、自分の睡眠時間を確保するかが、
多くの当直医の命題だ。
しかし、ボクは仕事をし始めてからは、
睡眠時間の長さにあまりこだわらなくなった。
寝不足でも結構平気なタイプなので、
当直でも、深夜になっても、ついつい救急室で
看護婦さんとダラダラと話し込んだりして、
貴重な時間を過ごしてしまう。
だから、深夜に来る救急患者に、気楽にゆっくり時間を使って
診察をすることも嫌いではない。
2011年10月30日日曜日
増加する性感染症感染者、早期発見・早期治療が大切!
性行為によって感染する性感染症(STD)感染者が増加しています
STD感染者数はここ4~5年で急増し、国内感染者数は600万人、
毎年60万人が感染していると推定されています
代表的な性感染症であるクラミジア感染症は、
20代前半女性の16人に1人、10代後半女性の21人に1人が
感染しているとの報告もあります
特にクラミジア感染症は自覚症状が出にくく、
知らない間に感染し、知らない間に他人へ感染させてしまいます
治療をしないで放置しておくと、不妊症の原因になる可能性や
出産時の母子感染の可能性もあります
HIV(エイズウイルス)感染も性感染症です
先進国でHIV感染者数が増えているのは日本だけです。
クラミジアなどの性感染症に感染していると、HIVに感染する危険度が
3~5倍高くなるといわれています
STD感染者数はここ4~5年で急増し、国内感染者数は600万人、
毎年60万人が感染していると推定されています
代表的な性感染症であるクラミジア感染症は、
20代前半女性の16人に1人、10代後半女性の21人に1人が
感染しているとの報告もあります
特にクラミジア感染症は自覚症状が出にくく、
知らない間に感染し、知らない間に他人へ感染させてしまいます
治療をしないで放置しておくと、不妊症の原因になる可能性や
出産時の母子感染の可能性もあります
HIV(エイズウイルス)感染も性感染症です
先進国でHIV感染者数が増えているのは日本だけです。
クラミジアなどの性感染症に感染していると、HIVに感染する危険度が
3~5倍高くなるといわれています
2011年10月15日土曜日
AKB48・河西智美、ブログで「骨盤腹膜炎」公表も回復アピール
AKB48・河西智美、ブログで「骨盤腹膜炎」公表も回復アピール
人気アイドルグループ・AKB48の河西智美が、
5日付の自身のブログで骨盤腹膜炎と診断されていたことを発表した。
所属事務所によると、大事には至らない状態だといい、
河西も「今は、療養してかなり良くなってきてますので、
少しずつやれる範囲でお仕事をやらせて頂きながら
1日でも早く完治させたいと思っています!」と綴っている。
河西は先月末に行われた握手会を体調不良により途中退席するなどしていた。
■骨盤腹膜炎とはどんな病気か
骨盤内には前に膀胱、後ろに直腸、
その間に子宮・卵管があり、それらの表面は腹膜でおおわれています。
この骨盤腹膜に起こった炎症が、骨盤腹膜炎です。
■原因は何か
骨盤腹膜炎の多くは、
前述の子宮頸管炎(けいかんえん)から子宮内膜炎(ないまくえん)、子宮付属器炎、
そして骨盤腹膜炎へと感染が上行性に進むことにより発症します。
したがって、これら子宮頸管炎、子宮内膜炎および子宮付属器炎の原因が、
骨盤腹膜炎の原因になりえます。
最近では、性行為感染症であるクラミジアと淋菌感染によるものが増えています。
また、子宮内避妊器具(IUD)を交換せずに長期間装着していると、
発症することがあります。
そのほか、開腹手術後の感染から起こることもあります。
人気アイドルグループ・AKB48の河西智美が、
5日付の自身のブログで骨盤腹膜炎と診断されていたことを発表した。
所属事務所によると、大事には至らない状態だといい、
河西も「今は、療養してかなり良くなってきてますので、
少しずつやれる範囲でお仕事をやらせて頂きながら
1日でも早く完治させたいと思っています!」と綴っている。
河西は先月末に行われた握手会を体調不良により途中退席するなどしていた。
■骨盤腹膜炎とはどんな病気か
骨盤内には前に膀胱、後ろに直腸、
その間に子宮・卵管があり、それらの表面は腹膜でおおわれています。
この骨盤腹膜に起こった炎症が、骨盤腹膜炎です。
■原因は何か
骨盤腹膜炎の多くは、
前述の子宮頸管炎(けいかんえん)から子宮内膜炎(ないまくえん)、子宮付属器炎、
そして骨盤腹膜炎へと感染が上行性に進むことにより発症します。
したがって、これら子宮頸管炎、子宮内膜炎および子宮付属器炎の原因が、
骨盤腹膜炎の原因になりえます。
最近では、性行為感染症であるクラミジアと淋菌感染によるものが増えています。
また、子宮内避妊器具(IUD)を交換せずに長期間装着していると、
発症することがあります。
そのほか、開腹手術後の感染から起こることもあります。
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