2011年12月18日日曜日

病気によって治療を開始するまでの緊急度は違う

救急疾患といっても、
その緊急度は様々だ
緊急度はその疾患を担当する医者の
時間感覚が物語っている

循環器の医者に、
救急に心筋梗塞が来ました、と言えば
わかりました、すぐ、行きます、と
全速力で救急に降りてくる

脳外科に
脳出血が来ましたといったら、すぐ行きますといっても
10分ほどかかることもあるのに
SAH(くも膜下出血、エスエーエイチあるいはザーと言う)なら
数分以内に来る
病気の状況にもよるが、
医者のその病気に対する好き嫌いがよくわかる。
どこの脳外科医もザーが好きだ

耳鼻科にめまいといっても1時間かかることも。
精神科の患者が不穏状態で興奮しているといっても
すぐ行きます、と言ってからでも、
2時間以上かかることもある
オイオイ、精神科のすぐって2時間かよ、

以前は、神経内科に
脳梗塞です、と連絡して、ハイすぐ行きますと言っても、
それから、忘れたころにやってきていたものだが、
(以前は脳梗塞は効果的な緊急処置というものがなかったんだ)

今じゃ、脳血栓融解療法(tPA)をする患者だと、
全速力で降りてくる

治療方法の変貌によって、
治療開始までの時間が変わっていくので、
医者の時間感覚も変わっていく

われわれ消化器外科に
消化管穿孔の汎発性腹膜炎です、と連絡が入ったら、
30分以内には行くかな

2011年12月3日土曜日

救急の形は千差万別

救急といっても、病院によって救急医療のやり方は千差万別。

小規模の病院なんかは、いくら「救急」を標榜していても、
ほとんどの病院が、たった一人の当直医が救急患者を診る体制。
しかもその医者は内科か外科か整形か耳鼻科かわからない。

そんな危うい状況で日本の救急は成り立っている。

一方、地域の中核病院、基幹病院などは救命センターや救急科を持っているところもある。
救急医療の形としては大きく2つに分けられる。

ひとつは、救命センターみたいに重症の患者(3次救急患者)だけを取って、救急医が自分たちで診察して集中治療して治して退院させる、といった自己完結型の形式をICU型救急。
もうひとつは、アメリカドラマの「ER」で見られるような、初療(初期治療)だけは救急医が診て、軽症ならそのまま帰すけど重症ならそれぞれの専門医に預けて入院させる、といった初療専従型のER型救急。

うちの病院は多くの科がある総合病院で、それぞれの科に専門医がいるので、
形としては「ER型救急」でやっている。

救急外来はボクたち救急専門医を中心に、毎日当番を決めて救急患者の診察に当たる。
ただ、担当医が専門の病気じゃなくても、毎日、全ての専門科が救急担当を当てているので、なにか専門外の患者が来たら応援を頼むことができる。

でも、こういった比較的しっかりした救急受け入れ体制を持っている病院は、
日本の救急病院全体から見たら、ほんの一握り、
その恩恵を受けられる患者も一握りということで、
救急フェチのボクとしては、
ちょっとでも質のいい治療を提供しようという思いだけは常に持ち続けている。